-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

書籍詳細情報

スペイン『アルメリア農業の奇跡』

スペイン『アルメリア農業の奇跡』
編著者田上隆一 一般社団法人日本生産者GAP協会 理事長
監修一般社団法人日本生産者GAP協会
発行株式会社AGIC
販売幸書房
価格2,200円(本体価格2,000円+税10%)〈送料無料)
発行2026年9月26日

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本書の特徴

 砂漠地帯を、欧州随一の施設野菜産地へ――。「アルメリア農業の奇跡」を生んだのは、先端技術だけではなく、農家が自ら動き、農協・行政・技術者・企業が市場の要求に応えて進化し続ける仕組みだった。本書は、スペイン南部アルメリアの成功の構造を解き明かし、日本農業を持続可能で競争力あるものへ転換するための実践的な示唆を提示する。

 かつてスペインでも最も貧しい砂漠地帯とされたアンダルシア州アルメリア県エル・エヒド市は、約50年で欧州随一の施設野菜産地へ成長し、農地の約9割がGLOBALG.A.P.認証を取得するGAP先進地となった。発展を支えたのは、農家の研究開発リスクを担う農協、農場を継続的に巡回してデータに基づく助言を行う技術者「テクニコ」、選果場を核とした生産管理・トレーサビリティのDX、低投入型の無加温温室、自治体の制度と結び付いたIPMである。GAPを単なる認証や規制ではなく、市場の信頼を得て価値を生み出す生産管理の仕組みとして共有したことが、農家と産地の行動変容を促した。

 本書は、2004年から約20年にわたる日本・スペイン農業交流と現地調査を基礎に、スペインの農業関係者、東京大学名誉教授、スペイン大使館、農林水産省職員、JA経営者、大学研究者、先進企業の経営者、高知県の生産者・指導者ら20名が多角的に論じた集大成である。地域農業クラスターの再設計、農協機能の転換、日本版テクニコの導入、選果場を核とした農業DX、GAPの本質理解という、日本農業再興への5つの戦略を提示する。高知県における施設園芸、IoP、IPM、GAPの実践も収録し、海外事例を日本の地域条件に応じて適応させる道筋を探る。

 生産者・生産者団体、JA、行政、研究機関、農業関連企業、流通・小売の実務者に向けた一冊。農協改革、地方創生、スマート農業、GAP実務を横断し、持続可能性と収益性を両立する産地づくりを、世界の先進事例から学ぶ。

目次

まえがき
本書の読み方
20名の講師・執筆者紹介
序章 なぜアルメリア農業なのか
◇日本生産者GAP協会GAPシンポジウム◇
序-1 アルメリア農業のプロセスに学ぶ 【主催者挨拶】
 二宮正士 日本生産者GAP協会常務理事 東京大学農学生命科学研究科名誉教授
序-2 世界のGAP先進地スペイン・アルメリア農業に学ぶ 【来賓あいさつ】
 内田 瑞子 スペイン大使館経済商務部投資・産業協力担当アナリスト
序-3 20年間続けてきたスペイン・アルメリアとの農業交流 ヨーロッパ青果物産地のトレンドを追って
 田上隆多 株式会社AGIC代表取締役
序-4 アルメリア農業研究のための予備知識 はじめに知っておきたい(12)項目とポイント
 田上隆一 日本生産者GAP協会理事長
序-5 GAPシンポジウム全体を通して学んだこと アルメリア農業研究の成果を概観する
 山田正美 日本生産者GAP協会 専務理事
第1章 奇跡の構造を読み解く
◇アルメリア農業の実態と背景-当事者が語る◇
1-1 スペイン農業の特徴と進化の軌跡
 内田瑞子 スペイン大使館経済商務部投資・産業協力担当アナリスト
1-2 アルメリア農業のマーケティング戦略と農業協同組合の生産者教育
 アントニオ・フェルナンド・エスコバル ララ アルメリア県 エル・エヒド市農業・環境部部長
1-3 アルメリアの農業モデル-効率的で持続可能な食料生産システム-
 ホアン・ペレス・ザマロン コエクスファル協会ディレクター
1-4 ローテク vs ハイテク温室園芸システム -スペインとオランダの比較-
 エステバン・バエザ・ロメロ コエクスファル協会研究開発スペシャリスト
1-5 アルメリア農業に学ぶ : GAPビジョンと地域協同
 田上隆一 日本生産者GAP協会理事長
第2章 日本の専門家が見たアルメリア
◇分野別の学びとその応用◇
2-1 スペイン地中海沿岸の農業視察体験 【研究者の視点】
 中村正士 株式会社アジア地域連携研究所
2-2 アルメリア農協の総合戦略に学ぶ 【JA経営者の視点】
 斗澤康広 JA十和田おいらせ 代表理事専務
2-3 GAPの本質と世界の潮流 【有機流通業者の視点】
 鶴田諭一郎 株式会社マルタ代表取締役
2-4 アルメリアにおける持続可能な農業 【分析検査業者の視点】
 徳留康幸 株式会社つくば分析センター アグリサポートチーム
2-5 スマート農業におけるテクニコの役割とGAP認証の重要性 【データサイエンス企業の視点】
 山内智貴 みずほ第一フィナンシャルテクノロジー株式会社コーポレートアドバイザリー部
2-6 有機施設栽培の大規模化と持続可能な農業モデルの構築 【有機農業で自動化を目指す企業の視点】
 豊吉隆一郎 株式会社トクイテン代表
2-7 なぜスペインの農業は強いのか  スマート農業を活かす産地の仕組み 【行政担当者の視点】
 平野智美 農林水産省大臣官房政策課技術政策室
第3章 地域実装の可能性
◇高知から始まる日本版アルメリアモデル◇
3-1 施設園芸技術と環境保護 日本・オランダ・スペイン 【地方自治体の視点】
 岡林俊宏 高知県農業振興部 IoP推進監
3-2 現場の課題が見えてきた 【生産者の視点】
 尾原由章 株式会社尾原農園 代表取締役
3-3 "できない"を"できる"に変えていく 【JA営農指導の視点】
 市川和加 JA高知県安芸地区営農企画課 課長
3-4 連携と継続的イノベーション 【普及指導の視点】
 小笠原香 高知県安芸農業改良普及センター農業改良普及課長
3-5 農業現場と研究教育の強力な連携 【研究者の視点】
 南真佐雄 高知大学IoP共創センター 特任研究員
3-6 高知農業を一枚岩にする 【高知県農業の近未来討論】
 岡林俊宏 尾原由章 市川和加 小笠原香 南真佐雄
第4章 日本農業再興への戦略
◇アルメリアモデルの政策的含意◇
4-1 アルメリア農業から学ぶ日本農業のポイント
 アントニオ・フェルナンド・エスコバル 山田正美 立石幸一 田上隆多 田上隆一
4-2 世界のGAP先進地スペイン・アルメリア農業に学ぶ
 二宮正士 内田瑞子 中村正士 斗澤康弘 田上隆一
4-3 ヨーロッパ随一の園芸産地アルメリアはスマートで持続可能な農業
 二宮正士 内田瑞子 中村正士 斗澤康弘 田上隆一 鶴田諭一郎 徳留康幸 山内智貴 岡林俊宏 尾原由章 市川和加 小笠原香 南真佐雄 田上隆多
第5章 農業は変えられる
◇アルメリアからの希望と実践知◇
5-1 アルメリア農業の成功要因
 田上隆一 日本生産者GAP協会理事長
5-2 アルメリアから学ぶ、日本農業再興のヒント
 田上隆一 日本生産者GAP協会理事長
あとがき