-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

株式会社Citrus 株式会社Citrusの農場経営実践(連載43回)
~経営改善計画の実行とスマート農業化~

佐々木茂明 一般社団法人日本生産者GAP 協会理事
元和歌山県農業大学校長(農学博士)
株式会社Citrus 代表取締役


 会社を設立して第10期の決算が終わった。今期も経常損失が36万円となり、赤字経営となった。しかし、前期190万円の赤字よりは改善はできた。昨年は緊急策として社長給与半減と著者所有の地代及び施設貸し付け経費を未払い処理して会社に現金を残したことで運転資金はクリヤーできた。今期も給与半減は継続、その他経費も未払いで対応することとした。経営改善の最も重要なことは「おいしくて売れるみかん」を生産することであることはわかっていたが、農作業に余裕がなく品種更新に取り組めかったことが失態である。栽培管理技術は向上してきたことから、次の改善としては、ことわざにある「品種に勝る技術なし」に取り組みはじめた。現状の異常気象下では古い品種は対応出来ない状況である。どんな年にでも品質が一定でおいしい品種に「ゆら早生」「田口早生」があり、今年と来年で中晩柑をその品種に更新する。社員のアイデアで、早期に収穫量を確保するため、一般の定植本数の数倍を定植し、3年で成園なみの収穫量をあげる計画だ。苗木代金が多く必要だが、数年でカバー出来る計算である。社員が自分の将来をも見据えた長期経営計画を立てていることをたのもしく感じているこの頃である。

 また、グロワーシッパーとして当社と姉妹関係にあり、流通を担当する「株式会社みかんの会」との連携も順調に進み、フェイスブックやインスタグラムなどSNS上での商品紹介ではCitrus生産チームとしてアップされ組織化ができてきた。生産現場の画像はCitrusが撮影し、生産と流通を一体化することでEC(電子商取引)の売り上げも徐々に拡大してきている。

 若者たちのネットワークが構築され農作業や「みかんの会」の仕事も相互協力出来るようになり、単なる個人経営ではなく理想とする1つの経営体の在り方が見えてきた。


 一方、栽培管理の合理化としてのスマート農業化も進めている。ドローンや自走式の草刈り機のデモや研修会等に社員自ら希望して参加している。みかん園で導入可能な機械は少ないなか、唯一運搬の軽労化を図るための電動式の一輪車「E-CAT KIT」を購入し試運転をしたところである。アルミフレームにE-CATのタイヤとバッテリーが組み込まれたもので、和歌山県の有田で開発され全国展開している運搬機械である。社員がこのE-CAT KITの開発者と知り合いで、若者の間で話題となり、昨年より有田のみかん園で流行っている。写真のようなところでも楽々自動車までみかんを運搬する。

 ドローンによる薬剤散布は、京都にあるエアロジャパン(http://www.flyaero.jp)の志村伊織社長と交流を深め、傾斜地のみかん園での操作を自動化できないか試験運転中である。(写真はCitrus園での試験飛行中のドローン)しかし、みかん園の地形を読み取るプログラムを書き換えるシステムエンジニアがいないので実用化に至っていない。導入するにはまだ早いと考えている。

 社員らが今、経営内容の見直しやスマート農業への関心を高めていることで、今後Citrusの運営が大いに楽しみである。

2022/8

  連載前へ 連載一覧へ