-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

『セミナー受講者の修了レポート(感想や考察)の紹介』
 農業者のためのHACCPセミナー

株式会社AGIC 事業部

HACCPシステムの手順は農場でのリスク管理に応用できる

受講者 都道府県普及員

 生産現場でのハザード分析については、GAPにおけるリスク評価と似た考え方であり、これまでのGAP指導の経験を活かす場面も多いと思われる。また、PRPとCCPの違い、特に重要なバザードを絞り込み、そのためのCLを明確に設定する点等は、反対にGAPにおけるリスク管理に応用できる考え方であると思われる。実際に発生するハザードやリスクの中で、より重要なものに絞り込み、管理基準を明確にし、モニタリング方法も生産現場に即した迅速性のある方法を選定する点。机上の空論に止まらない、現場担当者が自らの経験により、システムを作成し定期的な検証を行うという考え方は、より実用性を重んじる米国の国民性を感じた。

GAP普及ニュースNo.73 2023/1

受講者 JA営農指導員

 当JAではJAが運営する農場においてGLOBALGAP個別認証を取得し、今後は取得した農場をモデルとして品目部会で団体認証取得を目指していく方向で進んでいます。団体認証取得に際して、内部検査員の要件としてCodex規格に基づくHACCP研修の修了が要件となっているためこのセミナーに参加しました。

 Webでの参加となり、慣れない環境下での受講で疲れましたが、参考になる面が多くありました。今まで営農指導として農場に接する場合では、農産物出荷に際しての残留農薬のリスク(作物に対する農薬登録の有無や登録倍数、収穫前日数、使用回数)やドリフト対策についての指導は行って来ていました。しかしながら、今回のセミナーで行ったハザード分析の演習を通して学習した事で、取引相手(今回の想定は漬物会社)が原料となる農産物へのハザードリスクは、私が今まで想定していた以上に求められてくるという事や、ニーズに合った農産物を出荷していくためには、今後、益々GAP実践・認証が必要になってくるのではないかということを感じました。また、実習では、私自身はあまり発言せず申し訳なかったですが、多人数で話し合うことで「三人寄れば文殊の知恵」ではありませんが、自分一人では思いつかなかった事も出てくると実感しました。今後は、農業者も「農産物という食品」を生産・出荷する「食品事業者」であるという事を生産者へも伝え、そのために必要なリスク管理の必要性についても指導していきたいと考えます。

GAP普及ニュースNo.69 2022/3

受講者 普及指導員

受講前には、HACCPは食品加工業者が作成するものと思っていたが、ハザード分析を実際に演習して、農産物原材料由来のリスクがとても高いことがとてもよく分かった。食品衛生法の改正で、原則すべての食品事業者がHACCPに基づく衛生管理やHACCPの考え方を取り入れた衛生管理に取り組まなくてはいけなくなった今、農業でのGAPの推進がますます必要になると思った。

 農業では食中毒菌の危険因子を持っている意識が低いため、今後、指導する際には農業生産における食品リスクについて農業者に意識を持ってもらえるようにしたい。また、農業では肥料、農薬、微生物、害虫、病気、毒素、有害植物など生産過程に食品加工業者よりも多くのリスクがあると感じた。GAPは、食品の安全はもちろんのころ、労働安全衛生や環境に配慮した取組も含まれており、大変優れた取組だと思う。

 食品衛生法の改正に伴い、農産物直売所、黒にんにく、餅、たけのこの水煮や瓶入りジャムなどの農産加工をしていた農家の営業の届出の支援をしてきました。

 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理と食品衛生責任者の設置が必須となっているが、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の浸透はまだまだこれからだと感じている。

 保健所では農業者の農産加工状況を把握していないためか、農産加工をしている農業者へ食品衛生法の改正情報があまり伝わっていないように思う。消費者の立場からは、安心して農産加工品を買いたいが、食品事業者のHACCPの取組みに比べると、残念ながら農家の農産加工品はリスク管理の不十分な物が多いのが現状で、これから意識を変えていかなければいけないと感じた。

GAP普及ニュースNo.68 2022/1

受講者 「JAグループ職員」

 今回のHACCPセミナーを受講し、食品を取り扱う事業者は、どのように衛生環境を構築していくべきなのかの考え方、進め方について理解することができた。

 HACCPシステムを自身で構築してみて、実際のハザードは想定すればキリがなく、どこまで徹底してやるかの線引きが意外に難しいことがわかった。カット野菜の商品の例として、持ち込まれたレタスが、例えば基準より濃い農薬希釈液がかかってしまい、洗浄段階でもそれが落ちずに製品化した場合、残留農薬基準値を超過する可能性はあるかもしれない。このようなことは通常はありえないが、可能性の話で言えば全くのゼロではない。ただ、これを回避しようとすると、持ち込まれるレタスの全量残留農薬検査をしなければならないし、それは全く現実的ではない。

 実際、農薬残留に関しては生産者が適正な農薬使用を徹底していれば可能性もさらに低くできるわけであるから、そこでQMS及びGAPの取り組みを行っている生産者、産地が重要となってくる。

 HACCP自体は私の業務から言えば直接食品加工に携わる訳ではないため、最初は縁が薄いことではあるが学んでおくという感度であったが、上記の流れを考えると、私たちJAグループが関わる農産物に対し、実需者の求めがどういったことにあるのかということを学び取れたと思う。

GAP普及ニュースNo.68 2022/1