-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

『セミナー受講者の修了レポート(感想や考察)の紹介』
 GAP実践セミナー

株式会社AGIC 事業部

農業教員の意識改革を迅速に行わなければならない

受講者 都道府県教育機関教員

 2日間の講義・演習を通して、今まで持っていたGAPのイメージが大きく変わりました。以前までは「GAP=持続可能な農業の実践」というイメージだったのですが、それだけでなく農業管理(農場マネージメント)の領域も含んでいることを知りました。GAPは栽培系の農業者だけに関係するものだろうと考えていたところもあり、この考えも間違っていたことに気づかされました。農業実践者として知っておく内容だけでなく、経営者として知るべき内容であったことが最も印象に残っています。

 私を含む、農業教員としてこれからの農業者を育てる立場においては、今回の研修会は非常に重要で、すべての教員が意識改革をしていかなくてはならないし、それをなるべく迅速に行わなければならないとも感じました。持続可能で未来ある日本の農業を子供たちに伝えて行きたいと思います。

 GAP認証を取得することだけに目を向けがちですが、やはり明日から農場で実践できるGAPを、まずは目指していくことが大切であることを知りました。

GAP普及ニュースNo.73 2023/1

GAPは長期的な生産性の向上に結び付く

受講者 都道府県普及員

 私は、2年目の果樹普及員であり、これまでの普及指導を行ってきた中ではGAPについて触れる機会や勉強する機会がありませんでした。今回、私の担当ではありませんが、管内の茶農家の組織で海外輸出に向けたASIA GAP取得を行う取り組みを見聞きし、GAPについて興味関心を持ち受講させて頂きました。

 このような動機もあり、受講する前まではGAPは農家や農業組織にとって販売を有利に進めるための認証制度で、6次化などのような付加価値なのだろうという認識でした。講義の中で、元々イギリスのスーパーで始まり、今はヨーロッパでGLOBALGAP認証取得は当然のことであると聞き驚き、GAPは環境や労働者、生産物の安全性を保障し、出荷先との信頼性を高めるものだと分かりました。

 また、地力や用水に配慮した施肥設計やIPMの考え方に基づく農薬散布だけに頼らない病害虫の防除、機械や農薬、燃料、出荷調製などのリスク管理は、生産者にとって長期的な生産性の向上に結び付く考え方だと感じました。

GAP普及ニュースNo.73 2023/1

GAP指導のための研修がなかったので助かった

受講者 都道府県普及員

 今年の人事異動で、いきなりGAPの指導等をすることになったが、それに関する研修等がなかったのでこのような研修を開催していただき本当に為になりました。本やネットで情報収集をしてもいまいち理解が進まない事もあり、自分の解釈が合っているのかわからない不安がありましたが、今回の研修を受講して解釈が合っている所、いまいちだったところを再認識出来ました。

  「GAP=リスク管理」と思っていたのですが、今回の講義で環境保全にもつながることを改めて認識できたのは、現在の赴任地域においてもとても重要な事であり、今後の世界情勢にも必要な考え方と思いました。

 当たり前と思っていることを改めて明文化する大切さや、なあなあになっている部分をしっかりとルール決めしていくことで、リスク管理につながりそれが、環境や人に優しい農業につながることを、農家さんにもしっかりと理解してもらえるように指導していきたいと思いました。

  「GAP」に関して、「BAP」の考え方は初めて聞いたが、ダメなところの改善・指導していくにあたっては、Good←→Badの対比で明確化し説明していくのがわかりやすいのかなと感じました。また、最善・最良に改善するものと思っていた(Bad→Good)が、そうではなくできる限りの中で改善していく、Bad→No Badの考え方で良いとの話しは指導していくうえで非常に参考になりました。

GAP普及ニュースNo.73 2023/1

受講者 普及指導員

 GAPという言葉を聞くと、認証制度のようなものだと思っていたが、GAPそのものは適正な農業の行為・実践を表しており、その中に認証制度があることを改めて理解できた。総合的病害虫管理(IPM)についても、生物的、化学的、物理的方法などを組み合わせた総合的な防除のことだと思っていたが、予防・観察・モリタニングを含めた利用可能なすべての技術を組み合わせた病害虫管理を表していることを知ることができた。また、日本のGAP政策については、欧米と比べ遅れていることに驚きがあり、世界基準となるグローバルGAPをより推進していく必要性があると感じた。

 一日目に演習でリスク発見を実際に行ったが、リスクをただなくすだけでは解決にはならず、なぜそれがリスクになるかをしっかりと生産者目線で伝えることを意識して、普及活動をしていくことが大切だと思った。二日目のGH農場評価の演習では、様々な視点から農場管理を評価することで、生産者がどこを優先的に見直し、改善していく必要があるのかを確認する上でとても有効であり重要であると感じた。

 農場評価については、評価員の力量によって評価の質が決まってしまうということなので、単にチェックリストを埋めるための質問をするのではなく、生産者の行動や動作、言動などを注視し、農場におけるリスクを評価できるよう心掛けたいと思う。二日間にわたって、GAPの研修を受け、GAPについての基本的な知識をつけることができたと思うので、直接農場評価にかかわるときはもちろん、普段の普及活動においてもGAPの視点を持ち指導していきたい。

GAP普及ニュースNo.70 2022/6

受講者 普及指導員

 今回のGAPの研修を受けて感じたことは、GAPが農産物の安心安全を確保するための生産工程管理だと思っていたがそれだけではないことがわかった。地球環境を守るための持続可能な農業生産を行うための考え方がベースとなっている。もちろん生産工程管理は重要であるが今回の研修で見方が変わった。現在の世界的な環境保護の潮流の中で日本の農業におけるGAPの導入は必然であると考えられるが、消費者もGAPを行う背景を理解していただかないと生産者だけに負担が掛かり一層の普及は難しいと感じられる。

  さて、今回の研修は初日にGAPの概要説明と農場の現場写真を見て、何が問題であるか指摘する演習があった。問題がありそうだが理由を述べて指摘するのは容易ではない。場数を踏み、見落としてはならない事例を確実に指摘出来るようにする必要があると思われた。写真をみて判断する演習は参考になるので事例集があるとよいと思われた。

  2日目は評価員が農場主への聞き取りをする様子をビデオで見て各項目を判断する演習を実施した。資料のコメント欄は整理された状態になっており、このように記述が出来るようにメモなり何らかの記録を残す必要がある。ただ、メモすることばかりに夢中になると聴取者から十分な聞き取りが出来なくなるので注意が必要である。聞き取り方法もチェックリストを見ながら回答が「はい」、「いいえ」だけになる質問では評価をするための充分な情報が得られなくなるので、質問する側もそれなりの質問手法を身に着けないと適切な評価が出来ないと思われる。ビデオの評価者もチェックリストをほとんど見ずに質問と記録(記憶)をしていたように見受けられた。

 研修を受けて反省すべき点、勉強すべきことが多く、次回はより効果的な研修になるようにしていきたい。

GAP普及ニュースNo.70 2022/6