-日本に相応しいGAP規範の構築とGAP普及のために-

株式会社Citrus 株式会社Citrusの農場経営実践(連載10回)
~6次産業総合化事業計画の認定~

佐々木茂明 一般社団法人日本生産者GAP 協会理事
元和歌山県農業大学校長(農学博士)
株式会社Citrus 代表取締役

 農業の「6次産業化」に興味を持ち、「6次産業化」と検索すると、農林水産省からの事業案内がやたらと出てきますが,ちょっと読んだくらいではよくわかりませんでした。

  和歌山には、これらの事業を指導してくれる和歌山県6次産業化サポートセンター(和歌山県中小企業団体中央会内)があり、農業分野に精通した指導員がいます。そこに一言声をかけてみると、6次産業化に関わる研修会への案内があり、参加しているうちにようやく国の支援の受けた6次産業への取組み方法が解ってきました。また、既に6次産業化で成功された個人や団体にも出会うことができました。


図 農林水産省HP 総合化計画の案内パンフレットを引用

  農業者が国の支援を受けて6次産業化に取り組もうとすれば、いきなり設備投資を伴う整備事業には応募できないことも知りました。「6次産業化に取り組みますよ」という意思表示に似た3年から5年の総合化事業計画を国に提出して審査を受け、認定事業者とならなければ、これら6次産業化に関わる補助事業の申請資格が得られません。一般の農業政策に関する補助事業は、認定農業者が有利な条件が示されていますが、こちらはそれよりも厳しいようです。従って、必ず認定事業者となっておくように指導を受けました。補助事業に関する詳細は、農林水産省のHPをご覧いただければ多数の種類が記載されています。

  私はその中で、平成26年度から国の交付金により県が窓口となった6次産業化事業を選択して申請することにしました。先にも述べましたように、その前に認定事業者の資格を取得しなければなりませんでした。最終期限の平成25年12月27日に、農林水産省近畿農政局和歌山地域センターに認定申請書を提出して受理され、今年3月18日の近畿農政局主催の認定式に出席することになりました。

  平成26年2月には、6次産業化に必要な整備事項などの国の予算の枠取りのための事前調査がありました。事前調査と言っても、本申請同様の申請書の提出が期限付きで要求されます。補助事業の厳しさは現役公務員時代に経験がありましたが、立場を代えてみると、提出期限や計画書の内容は「お役所仕事だなー」と実感しました。本来はここまで来るには、かなり6次産業に精通していないと記入しにくい内容でばかりでした。

  6次産業への取組みは、「曖昧な考えでは失敗するかもしれない」という戒めかなと思いました。これらの申請手続きにはサポートセンターが委嘱しているサポーターが懇切丁寧に現場に出向いてくれて確認作業をしてくれますので、何とか現在に至っています。これで弊社も6次産業化への第一歩を歩み始めました。今後は構想ではなく実務として農産加工技術、商品企画、販売計画など前途多難ですが進むしかない状況となってきました。

  去る2月20日、21日に大阪WTCで開催されたアグリフードEXPOに、今時の加工品とはどんなものだろうかと見に行ってきました。

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